【新島 国弘】
……なんとか、間に合いましたね。
【琴吹 瑞香】
国弘先輩……?
【新島 国弘】
驚きましたよ。
いきなり落ちてくるから。
【琴吹 瑞香】
あ……。
どうしよう……お礼、言わなきゃいけないのに、
身体が震えて、うまく言葉にならない……。
先輩が受け止めてくれなかったら、今頃……。
【新島 国弘】
怪我はありませんか?
【琴吹 瑞香】
は……い。
【新島 国弘】
なら、いいです。
落ち着いた声に、恐怖と動揺が和らいでいく。
無理な体勢でわたしを受け止めてくれた、
先輩の腕は、とても温かかった。
いつまでも動けないわたしに、
先輩はため息1つ漏らさなかった。
ただずっと、背中を支えてくれていた……。